HITOJII ZAKKI & MONOLOG

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同じ派遣会社の同僚にお金を貸したら返ってこなくなった話|本多静六著『私の財産告白』から気づきをもらった話

リーマンショックが起きる前まで勤めていた製造業の現場で、自分が金銭の貸借でトラブルに巻き込まれた事を話します。

 

おっさんが金を借りて行方不明!?

同じ派遣会社に登録し同じ職場で働いていたおっさんにお金を貸したら、そのおっさんが翌日から出社しなくなりました。

 

そのおっさんは、自分以外の派遣社員にも複数声をかけ派遣先の新卒の正社員からもお金を借りていたため、当然部署内でも話しが広まりおっさんが会社に出社しなくなったのも相まって警察沙汰(行方不明者になった)になったのです。

 

自分もそのおっさんにお金を貸していた一人だったため、派遣会社の常駐管理者に貸したお金が返ってこなくなったと言いました。

 

そのおっさんと自分は、仕事を教える側と教わる側という立場関係で、自分はそのおっさんに仕事を教える側の人間でした。

 

おっさんは、製造業の経験者という事もあって仕事も普通にやれていたし、勤務態度も真面目だったんです。

 

そんなある日、おっさんにお金を貸したら翌日から会社に出社しなくなりました。貸したお金の金額は大金ではないのですが、その当時を振り返って考えてみると、自分はなぜ貸してしまったのか? 今の自分なら絶対に貸すとは言わないのにと切に思っています。

 

貸したお金はおっさんから手渡しでなく、派遣会社の常駐(派遣先に常駐している派遣社員の管理者)から渡されました。

 

お金が返って来たのは良いのですが、そのおっさんの勤務態度が真面目だっただけにショックでなりませんでした。

 

少し話がそれますが、もしそのおっさんが派遣先の正社員からお金を借りずに自分からだけお金を借りた状態で出社しなくなったら、派遣会社はどう自分に対応してくれたのか? 邪推というか少し気にかかりますよね。

 

お金を貸した証拠は口頭のみだし、製造業でよくあるバックレ案件として処理されたのかと考えてしまいます。

 

金を貸さずに知恵をやれ!

ここからが、今日の本題です。リーマンショックが発端で起きた世界的金融危機の煽りを受け、自分の派遣先の会社でも数百人規模で派遣切りが行われたのです。

 

当然自分も派遣切りにあってしまい退社を余儀なくされました。そんな中、失業中だし時間もあるし何かしら知識を得たいと思い、「お金の事で気づきを与えてくれる本」がないか探す事にしました。

 

そんな時、本多静六著「私の財産告白」という本に出会いました。この本に出てくる数々の著者自身の体験談から、お金を他人に貸す行為についても新たな気づきをもらいました。

 

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その文章の一部を以下に載せます。

ことに友人などから困窮の事実を訴えられると、つい気の毒になって金を出したものである。ところが、気の毒だと思って貸した金で、その金が生きた例がほとんどない。

(引用:本多静六『私の財産告白』実業之日本社 初版第一刷発行2005年7月20日、P.76)

読んでると「確かにその通りだ!」と共感出来る部分が幾つもあり、以下の

私は金を貸さぬ代わりに、その人に独立自治のできるだけの心配をしてやることにつとめているが、そのときには、せっかく金を借りにきたのに、一文にもならぬ講釈で追い返されるのかと不機嫌な顔で帰った人も、かえって金銭は人を頼みにしていてはできない、自分自身で一所懸命作るよりほかに策はないと悟って、ついに独立自主の人となり、各方面に成功するに至ったものが多い。

(引用:本多静六『私の財産告白』実業之日本社 初版第一刷発行2005年7月20日、P.79)

という文章の「自分自身で一所懸命作るよりほかに策はないと悟って」この部分も非常に気に入っています。

 

もし、おっさんにお金を貸す前に「私の財産告白」を読んでいたなら、お金以外に何かしら気づきを与えられる言葉をあげられたかもしれないと思うと残念でなりません。

 

若造の言葉がその当時のおっさんの心に届く届かないはどうでもよくて、その時は馬の耳に念仏かもしれないし「そういやー昔の現場で、うるせー若造がいたっけなあ~」程度でも全然かまいません。

 

だから、自分は「同僚にはお金を貸しません!」。その代わり気づきをあげれる人間になりたいのです。